どうして吊り革?
学生時代、『電車の車内で立っている人が掴まるモノを考える』という課題がありました。結果、その課題で出てきたアイデアは、どれも吊り革をアレンジしたものばかり。形状や素材はいろいろあるものの、垂れ下がっていてブラブラ揺れるデザインからは離れることができませんでした。その課題の本当の目的は分かりませんが、私は「どうして吊り革というカタチに辿り着いたのか?なぜ変わらないのか?」を考えるためだったと思っています。「吊り革のデザイン」ではなく「立っている人が掴まるモノ」と伝えたのは、それが理由ではないかと。
自由に考えて良い場合でも、既存の何かを引っ張り出してきて当てはめてしまうことがあります。それが適したモノだったとしても、どうしてそれが適しているかを説明できないのに選んでしまう。そうすると、いつまでたっても既存のアレンジから脱することができません。だから、当たり前のようにやっていることに対しても疑問を持って、何を聞かれても説明が出来るように勉強をしなければならないのですが、そう言っている私自身もなかなか出来ていません。自分で説明しようとすると理解度も格段に変わると分かっていても。
先日、木材について数人で話をする機会がありました。集成材よりも無垢材のほうが良いに決まってる!と考えている人に対して、木材の専門家がそれぞれのメリット•デメリットを語ったところ、「今やろうとしていることだったら集成材の方が良いかも…」と、考え方が簡単に逆転してしまったんです。その話を聞いて関心すると同時に、同じように事細かに説明できるかどうか不安になってしまいました。
あなたは、何かについて「どうしてそうなっているか?」を説明できますか?
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*イラストに登場する人や物は、すべて架空の設定です。内容は偏った見解ですが、物事を考える上で何かひとつでも気になってもらえたら嬉しいです。