「具体的に言ってください」はNG?
「具体的に指示してください」。私の中では、ディレクターやデザイナーが絶対に口にしてはいけないNGワードの1つです。だいぶ前に喫茶店で、電話のこんな話が聞こえてきました。「この文字の色は何色にすればいいですか?隙間は何センチ空けましょうか?……う~ん、こちらはベストなデザインを提案しているんですから、もしご納得いただけないなら具体的なデザインの指示をもらえないと…」。気持ちは分からなくもありませんが、お客さんがどんなに漠然とした抽象的なことを言っていても、矛盾するような要望をあげていても、それを具体的なカタチにするのがディレクターやデザイナーの仕事です。
そんな話をすると反発されたりもしますが、自分の力量の無さを説明しているようなもの。例えば、何度出しても納得してもらえないのは、単純に相手の要望を捉えらたデザインではないだけの話で、デザインを見せるたびに意見がコロコロ変わって困るというなら、それは相手の考えを整理できていないからです。でも、これがとても難しいことなので、自分たちを正当化して相手に責任をなすりつけてしまう…。偉そうなことを言ってはいますが、正直私も同じように苦しくなることがあります。ただ、それを相手のせいにしてはダメ。もっとインタビューが上手で、相手の考えを整理できて表現力があれば、そうはならないはずだからです。はじめから具体的な要望があれば別ですが、具体的なことは自分たちが考えなければならないと思っています。
あなたは、「具体的に言って!」と言われて困った経験はありませんか?
*イラストに登場する人や物は、すべて架空の設定です。内容は偏った見解ですが、物事を考える上で何かひとつでも気になってもらえたら嬉しいです。ちなみに、1年前はこんな記事でした↓