選ばれる昔のデザイン？

　ジェネレーションギャップがある話でピンとこない人がいるかもしれませんが、私が子供の頃は学校で配られるプリントやテスト用紙が『わら半紙』と呼ばれる紙でした。『わら半紙』といっても現在使われている中質紙のような紙ではなく、わらの繊維が残ったままのザラザラした紙。「懐かしいな～」と思い探してみたものの、ほとんど見かけなくなってしまいました。同世代の人に向けて印刷物を作るきっかけがあって、内容だけでなく紙自体でも懐かしんでもらおうとしたんですが、その時は見つからずに断念してしまいました。

自分が子供のときに使っていた物で、懐かしさを感じる物はたくさんあると思いますが、その中でもう一度使ってみたいと思う物がたまに出てきます。それは、懐かしいから使いたいだけではなくて、現在の物とデザイン•品質•機能などを比較しても良いと思える物。例えばレコードプレーヤー。技術は進歩してどんどん良くなっているはずなのに、昔の名機などは現在の物と比較しても好まれたりします。詳しく知っているわけではありませんが、楽器などもきっと同じ。

懐かしいと思ってもらえるだけでも素晴らしいデザインだと思いますが、現在の物と性能で比べても見劣りせず選ばれる物には特別な魅力を感じます。それが私の場合はわら半紙でしたが、人それぞれ特別な魅力を感じる物がきっとあります。総合力でみたら、もしかすると現在の物の方が良いのかもしれません。でも、ある目的のため、ある１点の魅力を求めたら、昔のデザインの中に素晴らしい物が眠っている可能性は大いにあると思っています。今の世の中のデザインは果たしてそうなるでしょうか…。

あなたが、現在の物よりも良いと思える『昔の物』は何かありますか？

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

＊イラストに登場する人や物は、すべて架空の設定です。内容は偏った見解ですが、物事を考える上で何かひとつでも気になってもらえたら嬉しいです。