やってから修正?
私はもともとモノづくりの現場に携わっていました。プロダクトが中心でしたが、仕事をしていく中で販促物や出版物など様々なデザインに関わることができてとても勉強になったのですが、お店の展示、ウェブサイト、経営戦略と仕事の幅が広がるとともに途中で大きな違和感を感じました。違和感を感じた理由は、修正できないデザインと修正できるデザインのちがいです。当たり前ですが、一度つくった商品や出版物自体を後になって修正することはできません。しかし、お店の展示やウェブサイトは修正ができます。
施策を打つときなど、100%満足できる内容にするまで待って実行するより、先にスタートさせて後から修正を加えていったほうが成果が得られる場合は確かにあります。自分たちだけで考えて精度を上げるよりも、実際に運用してからの気付きを反映させていったほうが、最終的な質は高くなるかもしれません。スピーディーに進めて高い成果を得ると考えれば、後から修正する方法は賢いと思いますし、実際に私もその方法をとることが多いです。でも未だに好きにはなれません。
それは、中途半端な状態でお客さんに提供する場合があるからです。最終的に良質なサービスにつながるのだからお客さんのためになっている、果たしてそうでしょうか?確かに修正によって質が向上した後にサービスを受けた人はそう感じます。でも、とりあえずスタートで最初にそのサービスを受ける人にとってはどうでしょう?その人にとっては一生に一度の大事なタイミングかもしれません。もちろん実際は、しっかり内容が詰められていて中途半端な状態では発信されないので、お客さんを裏切るような結果にはなっていないはずですが...。どんなデザインも自分たちの心構え次第ではありますが、後から修正できることが『保険』のような位置づけになってしまうのは個人的に気持ちわるく感じてしまいます。このブログの文章は気づく度に修正してしまうので、偉そうなことは言えないんですけどね。
あなたは『修正』を加えて質を高めていくことについてどう思いますか?
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*イラストに登場する人や物は、すべて架空の設定です。内容は偏った見解ですが、物事を考える上で何かひとつでも気になってもらえたら嬉しいです。