倒れない1本脚テーブル?
1本脚のテーブル。カフェや定食屋さんなどでよく見かけますが、テーブルの転倒防止について、様々な要望を聞く機会がありました。出てきたのは、「天板の手前に手をついて立ち上がろうとすると倒れる。」「お客さんの人数によってテーブルを動かしたいから脚を床に固定はしたくない。」「天板は大きめがいいけど、脚はコンパクトにしたい。」「絶対に倒れないものがいい。」など様々。
理論上は、天板より外側に脚が広がっていれば転倒はしません。でも天板を引っ張ったり、体がテーブルにぶつかったりした際に倒れる可能性はあります。脚をめちゃくちゃ重い素材で作って動かないようにする案が出てきたりしますが、実用性に欠けます。実際にいろんな要望が出てきた場合、どう考えればよいのでしょうか?
どこまで機能を満たせばよいのか?といった難しい線引きをしなければならないとき、私は使う人や環境の目線から判断するようにしています。座席の間隔が狭い場合は、立ち上がるときにテーブルに手をついてしまうかもしれませんが、座席間隔にゆとりがあればイスを深くひいて立ち上がれますし、立ち上がるときに手をかけるモノがあればテーブルに手はつきません。若者が利用する店と高齢者が利用する店では行動パターンも変わりますし、回転が速いお店はきっと慌ただしく出入りするでしょう。提供する料理によって変わる場合もあります。
あくまで経験上ですが、こういった意見を投げかけていくと、何を重要視しなればならないかが少しずつ整理されていくことが多かったです。それでもまとまらなかったら、1本脚にこだわるところから見直してみる。全てを満たすアイデアが理想ではありますが、仕事としている場合は人と時間とお金に限りがあるので、そうやって落とし所を見つけるやり方を今は選んでいます。ただ、100%正しいとは思っていません。そこには満たされていない意見があるからです。『地震がきても倒れず、中身も飛び出ないタンス。』そんな需要がある中で、私たちはどのように考えればよいのでしょうね。
あなたは要望に答えるときの『線引き』についてどう思いますか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
*イラストに登場する人や物は、すべて架空の設定です。内容は偏った見解ですが、物事を考える上で何かひとつでも気になってもらえたら嬉しいです。